今回は、ちょっと私自身の話から始めましょう。
ある日、スーパーで買い物をしていたときのことです。
向こうから、以前トレーニングを受けていただいた飼い主さんが歩いてきました。
「あっ、浅井先生!」
「お久しぶりです!」
懐かしい。
そこで私も、
「ワンちゃん、元気ですか?」
と聞いてみました。
すると、
「はい! おかげさまで困ったこともなく、元気にしています」
おお、それは良かった!
こういう言葉は、ドッグトレーナーとして本当にうれしいものです。
「あの仔、元気にしているんだなぁ」
そんなことを思いながら話していると――
飼い主さんが、ふと私にこう言いました。
「ところで先生……まだ、その仕事やっているんですか?」
…………。
えっ!?
私、いつの間に廃業したことになってたの?🤣
もちろん、その方に悪気はありません。
ですから私も、
「はい。私には、この仕事しかありませんので(笑)」
と答えました。
すると飼い主さん、
「それは良かった! また何かあったらお願いします!」
そう言って帰っていきました。
……良かった。
どうやら現役だと確認していただけたようです(笑)。
そして、もう一つ忘れられない話があります
別の飼い主さんのお宅で、犬のトレーニングをしていたときのことです。
突然、ご主人が私にこう言いました。
「先生、犬とは関係ない話なんですが……」
「はい、何でしょう?」
すると、
「ウチの息子、来年高校受験なんですけど、成績があまり良くなくて……」
なるほど。
高校受験。
お父さんとしては心配ですよね。
ここまでは、普通のお話です。
ところが――
問題は、その次でした。
ご主人が真剣な顔で、
「浅井先生のところに、弟子入りさせようかなと思いまして」
……。
えっ!?
ちょっと待ってください。
進路指導で、そこに着地します!?🤣
高校受験の話から、
まさかの――
ドッグトレーナーへ弟子入り。
私の頭の中では、
「高校は?」
「受験は?」
「そもそも息子さん、犬の仕事やりたいって言ってる?」
いろいろな疑問が一斉に出てきました(笑)。
もちろん、丁重にお断りしました。
笑い話のようですが……
この二つの出来事。
今振り返っても、ちょっと笑ってしまいます。
でも、あるとき私は思ったんです。
「待てよ……」
「ひょっとして、ドッグトレーナーという仕事そのものが、あまり知られていないんじゃないか?」
と。
これ、意外と大事な話なんです。
皆さんは、
「ドッグトレーナーって、何をする人?」
と聞かれたら、何と答えるでしょう?
犬にオスワリを教える人?
マテやフセを教える人?
犬と一緒に遊んでいる人?
犬好きなら誰でもできる仕事?
なんとな~く、
「毎日犬に囲まれて、楽しそうな仕事」
……そんなイメージもあるかもしれません。
もちろん、犬とは毎日のように関わります。
でも――
実際の仕事は、それだけではありません。
実は、犬だけを見ている仕事ではありません
私たちのところに相談に来るのは、犬です。
……と言いたいところですが、
犬は電話をかけてきません(笑)。
相談してくるのは、飼い主さんです。
「家族を咬むんです」
「インターホンが鳴ると吠えて止まりません」
「散歩で他の犬を見ると大騒ぎになります」
「家ではトイレをしてくれません」
そこには必ず、
犬と一緒に暮らしている“人の困りごと”があります。
だから私は、犬の行動だけを見ればいいとは考えていません。
その仔は、普段どんな生活をしているのか。
家族とは、どんな関係なのか。
どんな環境で暮らしているのか。
そして飼い主さんは、
「本当は、この仔とどんな暮らしをしたいのか?」
そこまで考えて、初めてスタートだと思っています。
だから私は「飼い主さんの家庭教師」
私は以前から、自分の仕事を、「飼い主さんの家庭教師」と表現しています。
犬だけを上手に動かして、「はい、できました!」では終わらない。
私が帰った翌日からも、その仔との暮らしは続きます。
365日、一緒に暮らすのはトレーナーではありません。
飼い主さんです。
だから、
犬に何かを教えるだけではなく、「なぜ、この仔はこうするんだろう?」「じゃあ、飼い主さんはどう接すればいいんだろう?」
それを一緒に考え、飼い主さん自身ができるようにしていく。
それも、ドッグトレーナーの大切な仕事だと私は考えています。
スーパーで、
「先生、まだその仕事やっているんですか?」
と言われたり、
高校受験を控えた息子さんの、
まさかの就職先候補になったり🤣
いろいろありました。
でも、こうした経験があったからこそ、
「ドッグトレーナーって何をする人なのか?」
それを飼い主さんにきちんと伝えることも、私たちの仕事なのかもしれないと思うようになりました。
そして――
ここから、さらに大切な話へ進みます。
ドッグトレーナーを探していると、よく目にする言葉があります。
「資格を持っています!!」
もちろん、資格や勉強は大切です。
では……
資格を持っている=ウチの仔の悩みを解決できるなのでしょうか?
ウソ? 本当?
この話、ちょっと気になりませんか?(笑)
次回は、第3回
「『資格があります!』それだけで選んで大丈夫?」
についてお話しします。
では、今回はこれで。🐶

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