第2回そもそもドッグトレーナーって、何をしている人なの?

今回は、ちょっと私自身の話から始めましょう。

ある日、スーパーで買い物をしていたときのことです。

向こうから、以前トレーニングを受けていただいた飼い主さんが歩いてきました。

「あっ、浅井先生!」

「お久しぶりです!」

懐かしい。

そこで私も、

「ワンちゃん、元気ですか?」

と聞いてみました。

すると、

「はい! おかげさまで困ったこともなく、元気にしています」

おお、それは良かった!

こういう言葉は、ドッグトレーナーとして本当にうれしいものです。

「あの仔、元気にしているんだなぁ」

そんなことを思いながら話していると――

飼い主さんが、ふと私にこう言いました。

「ところで先生……まだ、その仕事やっているんですか?」

…………。

えっ!?

私、いつの間に廃業したことになってたの?🤣

もちろん、その方に悪気はありません。

ですから私も、

「はい。私には、この仕事しかありませんので(笑)」

と答えました。

すると飼い主さん、

「それは良かった! また何かあったらお願いします!」

そう言って帰っていきました。

……良かった。

どうやら現役だと確認していただけたようです(笑)。

そして、もう一つ忘れられない話があります

別の飼い主さんのお宅で、犬のトレーニングをしていたときのことです。

突然、ご主人が私にこう言いました。

「先生、犬とは関係ない話なんですが……」

「はい、何でしょう?」

すると、

「ウチの息子、来年高校受験なんですけど、成績があまり良くなくて……」

なるほど。

高校受験。

お父さんとしては心配ですよね。

ここまでは、普通のお話です。

ところが――

問題は、その次でした。

ご主人が真剣な顔で、

「浅井先生のところに、弟子入りさせようかなと思いまして」

……。

えっ!?

ちょっと待ってください。

進路指導で、そこに着地します!?🤣

高校受験の話から、

まさかの――

ドッグトレーナーへ弟子入り。

私の頭の中では、

「高校は?」

「受験は?」

「そもそも息子さん、犬の仕事やりたいって言ってる?」

いろいろな疑問が一斉に出てきました(笑)。

もちろん、丁重にお断りしました。

笑い話のようですが……

この二つの出来事。

今振り返っても、ちょっと笑ってしまいます。

でも、あるとき私は思ったんです。

「待てよ……」

「ひょっとして、ドッグトレーナーという仕事そのものが、あまり知られていないんじゃないか?」

と。

これ、意外と大事な話なんです。

皆さんは、

「ドッグトレーナーって、何をする人?」

と聞かれたら、何と答えるでしょう?

犬にオスワリを教える人?

マテやフセを教える人?

犬と一緒に遊んでいる人?

犬好きなら誰でもできる仕事?

なんとな~く、

「毎日犬に囲まれて、楽しそうな仕事」

……そんなイメージもあるかもしれません。

もちろん、犬とは毎日のように関わります。

でも――

実際の仕事は、それだけではありません。

実は、犬だけを見ている仕事ではありません

私たちのところに相談に来るのは、犬です。

……と言いたいところですが、

犬は電話をかけてきません(笑)。

相談してくるのは、飼い主さんです。

「家族を咬むんです」

「インターホンが鳴ると吠えて止まりません」

「散歩で他の犬を見ると大騒ぎになります」

「家ではトイレをしてくれません」

そこには必ず、

犬と一緒に暮らしている“人の困りごと”があります。

だから私は、犬の行動だけを見ればいいとは考えていません。

その仔は、普段どんな生活をしているのか。

家族とは、どんな関係なのか。

どんな環境で暮らしているのか。

そして飼い主さんは、

「本当は、この仔とどんな暮らしをしたいのか?」

そこまで考えて、初めてスタートだと思っています。

だから私は「飼い主さんの家庭教師」

私は以前から、自分の仕事を、「飼い主さんの家庭教師」と表現しています。

犬だけを上手に動かして、「はい、できました!」では終わらない。

私が帰った翌日からも、その仔との暮らしは続きます。

365日、一緒に暮らすのはトレーナーではありません。

飼い主さんです。

だから、

犬に何かを教えるだけではなく、「なぜ、この仔はこうするんだろう?」「じゃあ、飼い主さんはどう接すればいいんだろう?」

それを一緒に考え、飼い主さん自身ができるようにしていく。

それも、ドッグトレーナーの大切な仕事だと私は考えています。

スーパーで、

「先生、まだその仕事やっているんですか?」

と言われたり、

高校受験を控えた息子さんの、

まさかの就職先候補になったり🤣

いろいろありました。

でも、こうした経験があったからこそ、

「ドッグトレーナーって何をする人なのか?」

それを飼い主さんにきちんと伝えることも、私たちの仕事なのかもしれないと思うようになりました。

そして――

ここから、さらに大切な話へ進みます。

ドッグトレーナーを探していると、よく目にする言葉があります。

「資格を持っています!!」

もちろん、資格や勉強は大切です。

では……

資格を持っている=ウチの仔の悩みを解決できるなのでしょうか?

ウソ? 本当?

この話、ちょっと気になりませんか?(笑)

次回は、第3回

「『資格があります!』それだけで選んで大丈夫?」

についてお話しします。

では、今回はこれで。🐶

関連記事

PAGE TOP